酸性の温泉で知られる川湯温泉ですが、その源になっているのは、温泉街から2キロほど離れた場所にある硫黄山です。その川湯温泉と硫黄山をつなぐように整備されているのが、つつじヶ原自然探勝路で、片道2.5キロ程度1時間ほどで歩くことができます。周回コースではないため、硫黄山での滞在も含めると往復2時間30分から3時間を目途にするといいでしょう。
足湯と川湯温泉
硫黄山と屈斜路湖をつなぐ道道沿いに川湯温泉街がありますが、温泉街唯一の信号の近くには足湯が設置されています。ここを出発点に硫黄山までの散策が始まります。強酸性の温泉が流れていて、歩き終わったら、ここで足の疲れをほぐすことができます。
川湯温泉は森に隣接しており、川湯園地と呼ばれる公園が整備されています。様々な樹種を観察することができ、秋にはとてもきれいな紅葉を楽しむことができる場所でもあります。そんな森の中を歩いていきます。
広葉樹林
川湯園地からつつじヶ原自然探勝路に入ると、まずはじめに見られるのが、広葉樹の森です。シラカンバやイヌエンジュ、ミズナラなどの木々の中を進んでいきます。ウッドチップが敷き詰められ、雨上がりは少し滑りやすいですが、柔らかくて歩きやすい散策路が続いていきます。晴れた日には木漏れ日が散策路を照らしてくれて、直射日光に当たることなく、気持ちよく歩くことができます。
イソツツジ群落
広葉樹林から急に視界が開けると、奥に硫黄山が見えてきます。すると足元に広がるのはイソツツジの群落です。例年6月下旬にはこのイソツツジの白い花が咲き、一面の花景色を見ることができます。
ここでは年々シラカンバが大きく成長してきており、イソツツジの開花時期以外は白樺高原と呼ぶのにふさわしい爽やかな景色が広がっています。
ハイマツ群落
さらに硫黄山に近づいていくと、イソツツジに覆いかぶさるように群落を起こしているのが、ハイマツです。イソツツジとハイマツは両種とも周辺では標高800m程度まで山を登らないとみられないのですが、硫黄山麓標高約150m程度で見渡す限りイソツツジとハイマツという群落を形成しているとても珍しい植生を見ることができます。
ハイマツの枯死と硫黄山
散策路も終わりに近づいてくると、群落を形成していたハイマツもまばらになっていき、枯死したままの形で残っているものもあります。環境が厳しすぎる故に、枯れたまま朽ちていくこともできないハイマツは荒涼感溢れる雰囲気を醸し出しています。
硫黄山麓まで来ると、散策路上で見えていた噴煙を上げる姿を目の前で見ることができます。立ち上るガスには硫化水素も含まれており、近づくと硫黄の匂いがとても強くなります。噴気孔は結晶化した真っ黄色な硫黄が大きな塊となっている姿を観察することができます。
川湯駅前まで行く場合は、そのまま青葉トンネルを歩いていきます。川湯温泉まで戻る場合は、つつじヶ原自然探勝路に沿って歩道付きの道道もあるので、まっすぐ帰ることもできますし、探勝路を戻っていき、途中からアカエゾマツの森を歩いていくこともできます。
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