【特集】摩周湖全面結氷2018

過去掲載

2013年を最後に全面結氷してこなかった摩周湖が、個人の観察記録ですが、2018年2月22日、5年ぶりに全面結氷しました。深さ211mもある摩周湖は湖面が凍る年と凍らない年とあります。今回は、同じ時間での定点観測にはなっていませんが、凍り始めから氷が解けるまでの一部始終をご紹介していきます。

❆2月2日凍り始め

屈斜路湖が全面結氷を目前に迎えた2月2日。摩周湖南岸の一部分が凍りました。湖面は風で揺らめいているのに、氷は透明で雲の朝焼けの色を映し込んで不思議な色を醸し出していました。

翌日2月3日は全体が薄っすらと凍りましたが、記録が残っていません。その氷はすぐに割れて、一番初めに凍った南岸に寄せられていきました。

❆2月9日寄せ氷


氷が南岸に寄せられてからは、湖全体が凍る様子が無く、寄せられた氷は湖面が見えている場所から少しずつ壊れて小さくなっていきます。しかし同時に、湖岸近くは氷がなかなか壊れることなく、むしろ日に日に厚くなっていたのではないかと思います。ただ、氷の面積はどんどん小さくなっていきました。

❆2月16日全面が再び薄っすらと凍る


小さくなっていく南岸の氷を見ながら、もう今年は凍らないかとあきらめていたら、15日の夜から16日の朝にかけて、再び一気に湖面に氷が広がりました。

ただし、凍っていない部分がまだ見てとれます。ここ数年の間も、ここまでは凍っていましたが、天候不良ですぐに壊れてしまい、全面結氷までは至っていませんでした。

❆2月17日一部凍っていない吹雪前


まだ一部分凍っていない部分があるまま、17日午後から天候が荒れていきます。17日夕方から摩周湖までの道路も閉鎖されてしまうほどで、この吹雪を氷が絶えることができれば、全面結氷だろうと期待に胸が膨らむのと同時に不安もあります。後は道路が開通するのを待ちます。

❆2月19日奥がまだ凍っていない吹雪後


17日の午後から荒れた天候にも摩周湖の氷は無事に耐えてくれました。強風で重なった氷に降った雪が乗り、風が飛ばしやすい雪を飛ばしてくれたからでしょうか。誰も予想していなかったと思いますが、とても不可思議な氷の模様が浮かび上がりました。しかし、まだ北岸は広い範囲で凍っていません。

❆2月22日全面結氷


21日は北岸も凍りましたが、昼間の天気で氷が緩み、湖が一部分見える場所もありました。そして、22日。ついに湖面が見えている場所や水がしみだしている場所が一切なくなりました。このまま23日を迎えてくれたら、22日が全面結氷と言ってもいいでしょう。

❆2月23日氷が割れている様子はない

23日になっても湖面が見えることは無く、水がしみだしている場所もありません。ここまできたら、後はどんどん氷が成長していくので、並大抵の吹雪では壊れることはないでしょう。なので、22日が全面結氷だったと思います。5年ぶりの全面結氷です。

❆2月24日全面結氷から2日後

氷の上に乗る雪や雪を吹き飛ばす風で日々模様を変えていきます。ぶち模様のときもあれば、ヒビが入っているときもあります。無風で雪がぱらっと降ると、一面の雪面になることもあります。湿雪さえ降らなければ、このまま氷の模様を楽しむことができるでしょう。

❆3月3日全面結氷から9日後

この写真では分かりずらいですが、中島の手前に左右に一本の筋が伸びました。3月にも入ると朝晩の気温差が激しくなる時もあり、氷の収縮膨張も激しい時があるからでしょうか。双眼鏡などで見てみると、氷丘脈のように氷が競り上がっています。

❆3月6日全面結氷から12日後

6日の午後に降ってきた雪で、3日に入った筋はほとんどが隠されてしまいます。気温はどんどん上がってくるので、降ってくる雪は湿雪で、氷に貼りついていきます。一面が雪原になってはいませんが、氷の模様の変化は少なくなります。

❆3月10日全面結氷から16日後

9日に季節外れの大雨が降り、雪面になっていた摩周湖も雨が氷上の雪を解かして、写真では分かりずらいですが、少し不思議な薄い水色を醸し出しています。あれだけの大雨が降ってもまだ氷は融けません。しかし、摩周外輪山の雪もどんどんと融けているので、これから少しずつ氷も緩んでいくのでしょうか。

❆3月26日全面結氷から32日後

全面結氷してから約1ヵ月が経ちました。氷は薄くなってきているはずですが、まだ氷が解ける様子はありません。外輪山を覆う雪は少しずつ融けていて、雪の下のササが少しずつ顔を出し始めました。

❆4月12日全面結氷から49日後 解氷


暖かい日が続いているので、そろそろ解氷し始めるのではないかと、ライブカメラをこまめに確認していました。4月11日の午前中は、まだ結氷していて、午後は霧で全く湖が見えなくなりました。12日の午前中にライブカメラを確認してみると、昨日まであった氷が無くなっています。急いで摩周湖を訪れてみると、まだ残っていましたが、一気に広範囲の氷が無くなっていました。

❆4月19日全面結氷から56日後 完全解氷

全面結氷が終わり、一番初めに凍った場所の氷が最後残っていましたが、19日の昼間に完全に融けて氷が完全に無くなりました。写真は20日の昼間に撮影した摩周湖です。始めの2・3週間は凍った摩周湖がうれしかったですが、久しぶりに摩周ブルーを見ると、それはそれでうれしくなりますね。

❆2018年の全面結氷を振り返ってみると

振り返ってみると、およそ2か月もの長い間、摩周湖は氷に閉ざされていたことになります。摩周・屈斜路エリアの冬の厳しさを改めて実感することができます。

結氷景色も、気温や風、積雪などを要因に様々に変化してくれました。次回はいつ全面結氷してくれるでしょうか。その時は、2018年の結氷と比較していきたいですね。

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