1月は屈斜路湖が凍っては壊れてを繰り返し、その姿が日々移り変わっていく月です。湖畔に寄せられている氷が昨日はあったのに、もう無くなっているなんてこともよくあります。そんな屈斜路湖畔ではこの時期ならではの自然現象がたくさんあります。今回はそれらを一挙にご紹介していきます。
けあらし
気温と水温の差が激しい風の弱い早朝、まだ凍っていない湖面から”けあらし”が立ち上ります。太陽の光が当たり気温の上昇とともに消えていく早朝オンリーの現象です。
モルゲンロート
冬山登山で見られるほどの赤色ではないですが、屈斜路カルデラの外輪山にギラギラの朝陽が当たると真っ赤に色づきます。日の出を見に出かけるのもいいですが、西側に見られるモルゲンロートも好きな景色です。
霧氷
屈斜路湖から立ち上る水蒸気やけあらし、雲海が木々に着氷し見られるのが霧氷です。屈斜路湖は周囲57キロととても大きな湖のため風が出てしまうことが多く、湖畔全体が霧氷になることはなかなかありません。けあらしは微風時でも立ちますが、湖畔の霧氷は川の流入口を除き、条件が揃った時のみに見られる貴重な景色なのです。
霜柱
温泉が湧き、地熱で暖かい雪があまり積もらない湖畔では、霜柱を一冬中見ることができます。基本地面全体が霜柱になっており、足元にあるのでザクザクしている地面をめくらなければ確認できません。寒い日が連日続くとどんどんと大きくなっていきます。
しぶき氷
まだ湖面が凍っていないタイミングで北西の強風が吹くと、湖畔の波が高くまで上がり木や枝などに水しぶきが当たり滴るときにどんどんと凍っていき氷が成長していきます。大きなものでは背丈以上になる場所もあります。
結氷(透明)
気温の低い風が弱い朝には湖の端からどんどんと氷が広がっていきます。凍ったばかりの湖面は透明でまるでガラスが敷いてあるかのような不思議な感覚さえ起きます。凍ったばかりの湖面は氷がとても薄いので乗ってはいけません。
アイスバブル
湖面が透明に凍っているときに見られる現象の1つがアイスバブルです。湖底から湧き上がってくるガスが氷の中に閉じ込められる現象です。屈斜路湖では温泉も同時に湧き上がっていることがほとんどでアイスバブルができている場所は昼間になると解けて湯壺になっていることがほとんどです。
フロストフラワー
透明な氷の上の凸凹を核に蒸気が着氷していく成長するのがフロストフラワーと呼ばれる霜の花です。昼間気温が上昇したり、風が吹くと消えてなくなってしまいます。数個だけ咲いているということはよくありますが、湖面いっぱいに咲き乱れるのは湖畔全体が霧氷になるのと同程度に稀です。
気泡
どうしてできるのが不明なのが、この気泡。湖畔の湖底には大きな岩が横たわっていることが多いのですが、その岩のフチに沿って岩の無い場所に気泡ができ氷が白濁します。多分湖底から温泉やガス以外に染み出した何かが凍るからだと思いますが、とても不思議な現象です。
寄せ氷
屈斜路湖は風の影響を受けやすいため、薄く張った氷は強風で立った波に揺られることで割れてしまい湖畔に寄せられます。寄せられた氷はそのまま隙間を埋めるように凍ることもあれば、粉々になるまで揺られて消えていくこともあります。
かわら氷
寄せられた氷が次々に重なっていくとまるで屋根の瓦が積み重なるように見えるため、かわら氷と呼ばれることもあります。厚い氷の場合なかなか重なっていきませんが、2センチ程度の氷なら風で次々と重なっていきます。その時に氷が奏でるカラカラという音がとても美しいのですよね。
氷の結晶
様々な方向に成長する氷は偏光グラスを通して太陽の光が当たっている氷を見ると虹色に輝いて氷の結晶を見ることができます。厚さが5ミリ以下のとても薄い寄せ氷が湖畔に打ち上げられているときに偏光グラスがあったらぜひ探してみてほしい自然現象の1つです。
結氷(雪原)
凍っては壊れてを繰り返しながら結氷が広がっていきますが、そこに雪が降ると湖上は大雪原と化します。湿雪が降るとそのまま氷にへばりついて透明な氷を見ることができなくなってしまいます。乾雪なら風で雪が吹き飛ばされてまた透明な氷が見られるようになることもあります。
湯壺
早朝は氷が張ってアイスバブルが見られる場所も気温が上がると湯壺となります。雪が降ったばかりの時は、薄氷の上に積もった雪で穴が開いていることが分からなくなってしまうこともあります。屈斜路湖畔はいたるところで温泉が湧いているため、湯壺は至るところにあります。
放射状氷紋
氷の上に雪が積もると、雪の重みで氷が沈み湯壺から水が染み出してきます。積もったばかりの雪は雪と雪の間に隙間があるため、染み出してきた水が雪の間を走っていくと、まるで稲妻が走ったような紋様を作り出します。
氷のひび割れ
昼間と早朝の寒暖差による氷の膨張収縮や波による揺れ、雪の重みなどで氷にヒビが入ります。そのまま亀裂が縦横無尽に走って粉々に砕けていくこともあるし、そのまま全面結氷すると御神渡り現象になることもあるし。ヒビからは水が染み出してきて、雪原に不思議な模様を作り出すこともあります。
まとめ
1月も中旬を過ぎると本当に目まぐるしく屈斜路湖で見られる自然現象は1日ごとに変化していきます。基本的には天気のよい朝晩の寒暖差が激しい日は氷が広がり、天気が悪い日は氷が壊されていきます。
結局天気とにらめっこしながら、湖畔を巡った時に見られたものしか見られないのですが、それでもただ景色を眺めるだけではなく、見ている自然現象を少しでも知っていればより冬の自然観察が楽しくなってきます。
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