気温が高くなり、体感温度も暖かくなってくると、長い冬の眠りから木々が少しずつ、でも気づくと一斉に目覚め始めます。それはまるで、スタート地点にわらわらと集合してスタートを待ち、合図と共に我こそが先に進むんだと、一斉に走り出すランナーのようです。いきなり花を咲かせる木もあれば、初々しい葉を開かせる木もあり、木々によってその走り出しや走り方は違います。それでも多くの木々が一斉に新緑を見せてくれる森の中を歩くと、彼らが発するエネルギーを感じることができます。
一番始めに映えてくるのはシラカンバ
桜が咲くのと同時に緑が出てくるのがシラカンバです。幹が白いので新緑がより映え、いよいよ春も終盤に差し掛かってきたなと感じさせてくれます。新葉は日に日に大きく成長していくと、その他の木々たちも負けていられれないと、みるみるうちに緑が森全体に広がっていきます。
次々と顔を出し始める新緑
シラカンバのスタートダッシュを追いかけるように、ミズナラ、カツラ、シナノキ、ハンノキなど5月中旬過ぎまでの間に多くの広葉樹の新葉が一斉に出てきます。この時期の葉はまだ葉緑体が少ないのか葉が薄いのか、特に天気のいい昼間は、太陽の光が新葉を透かし、森の中はとても爽やかな雰囲気を醸し出してくれます。冬の間に落ちた落ち枝など足元にも注意をしなければいけませんが、新緑を見上げながら歩くととても気持ちのいい瞬間です。
標高を上げていく新緑
低地から始まる新緑も月末に向かってどんどんと標高を上げていきます。摩周・屈斜路で最も高い1000mの藻琴山では6月に入ってから桜や新緑がきれいになりますが、少し標高の低い摩周岳では5月下旬ごろ新緑を楽しむことができます。この頃には、残雪もほとんど残っておらず、道迷いもすることなく歩くことができます。
最後に出てくるイヌエンジュ
摩周や屈斜路外輪山で新緑が始まる月末、低地では一歩出遅れて最後に葉が出てくるのが、イヌエンジュです。この葉を見ると、その後すぐに硫黄山麓にあるイソツツジの開花が確認できるようになるので、そろそろ初夏が始まるなと思わせてくれます。
この時期は新緑だけではなく、野の花や小鳥たちなど目まぐるしく様子が変化していきます。そのサインを見逃さないようにしていかなければ、すぐに見忘れてしまったり、見落としてしまったりするので、気を付けていかなければなりません。分かりやすいですし、新緑を感じることはその第一歩なのではないかと思っています。
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