弟子屈町では屈斜路カルデラの外輪山を境に北は畑作、南は酪農が主に行われています。川湯や屈斜路周辺はその火山による土壌が畑作に適していることから、ソバやジャガイモ、小麦、ビート、デントコーンなどが作られています。それらは阿寒摩周国立公園内でもあり、近隣の国立公園では見られない畑作風景を望むことができるのもポイントとなっています。その中でも、7月中旬から下旬になるとソバやジャガイモの花が咲き、麦が穂をつけると畑作風景が華やいで見えます。車窓に見える景色が楽しみな季節になります。
ソバの花
弟子屈では摩周そばという名前でそばが作られています。そば畑では独特な匂いが広がっていますが、風に白い花がそよぎます。遠くには藻琴山などのカルデラの外輪山や硫黄山を望むことができる場所もあり、火山でできた大地に根付く作物なのだなと実感できます。
じゃがいもの花
続いてじゃがいもの花です。遠くからではそば畑のようにも見えますが、近くで見ると、1つ1つの花はそばよりも大きく、可愛らしいお花が一面に咲いている様子を見ることができます。
また、花の色はイモの品種によっても違い、紫やピンクなどの色の花も見ることができます。それらが列になっている区画があると、その色彩の美しさに目を奪われます。直径約25キロの半分は屈斜路湖や硫黄山などの湖と火山と森になっている屈斜路カルデラ内部での畑作のため、北海道らしい広大な農風景というよりは、畑が低い山に囲まれた景色であることも特徴です。
キガラシ(緑肥)
白や紫の花が広がる畑作風景の中、ひと際目立つ黄色をしているのは、キガラシです。キガラシだけの場所もあれば、イモと並んで見られる場所もあり、色のコントラストを楽しむことができます。
目に留まりやすい色をしているキガラシですが、これは作物ではなく、ひまわりと同じように土を肥やすための緑肥と呼ばれるもので、花が咲いていても、ある時急に土に漉き込まれていきます。ジャガイモは花が枯れるまで見られますが、キガラシの花がいつ見られなくなるかは農家さんの作業スケジュール次第ということなのですよね。
小麦の穂
そして、夕陽など太陽の光がオレンジ色に染まる時間帯になって、穂先に光が当たると、元々茶色であることも相まって黄金色に輝きだすのが小麦畑です。この時期は南からやってきている霧(うんかい雲)が朝は立ち込めていることが多いため、朝陽に輝く姿を見られることはほとんどありません。天気のいい夕方のみで見られる景色となります。
このように7月は畑作風景が美しくなる季節ですが、気をつけたいのは、畑は農家さんの土地であるということです。農家さんにも生活があるわけですから、畑の中に入り込んだり、農作業の邪魔にだけはならないようにしながら、車窓の景色を楽しんでいただけたらと思います。
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