【コラム】自然ガイドって?

一概にガイドと言っても、バスガイドもいれば、博物館などのガイド、カヌーガイドや登山ガイド、自然ガイドなど、フィールドは多岐に渡ります。特に北海道は自然資源がフィールドになっていることが多いため、自然に関わるガイドを生業とされている方が多いのではないでしょうか。私自身、現地に住まう自然ガイドとして活動させていただいているので、今回は私が経験してきて思う自然ガイドとは?というお話をしていきたいと思います。

まず、ガイドで売上を上げるには大きく分けると2つ方法があります。以前の記事にも出てきた旅行会社が主催するツアーでガイドを担当させていただくパターンと、ガイド自らが主催してガイドを実施するパターンの2つです。両者で大きく異なるのは、宿泊や交通の有無ですが、これはまた別の機会にお話しすることにしましょう。今回はどちらのパターンにも通じる内容を続けていきます。

プロとアマ

自然ガイド業は飲食店や宿泊業などのサービス業などと違い、原価や施設の維持費などがほぼ無い、特殊なサービス業です。備品や運営費はさておき、当日のガイドにかかる費用はほぼ人件費のみだからです。すると、自然ガイドはカヌーや登攀など特殊なスキルが必要な案内ではないため、社会貢献をしたくてボランティアでガイドをしてらっしゃる方もいれば、愛好会など趣味活動のリーダーとしてガイドをしてらっしゃる方もいます。そのため、有償でガイドをするということは、彼ら以上の魅力を打ち出せなければ、選ばれることはありません。プロもアマも根底は自然が好きでやっていることのため、アマの皆さんはプロ顔負けの知識や経験を有していることが多いです。プロ最大のライバルはアマの皆さんなんですよね。

エコツーリズムの概念に沿うガイドであること

エコツーリズムには以前の記事で上げた7つのことが含まれているべきだと考えています。ただ、難しく考えすぎると立ち行かなくなってしまうので、ガイドは、他社が企画したツアーであれ自社で企画したガイドであれ、それらをさりげなく織り込んでいくことが大切であると考えています。

安全に配慮していること

ガイドを頼む方の中には、一人で歩きに行くのは不安だという方がいらっしゃいます。現地ガイドのいいところは現地の様子を事前に把握することができ、散策路や登山道の様子をしっかりと下見できるところなのではないでしょうか。また有事の際に備えた救急法の訓練や緊急連絡先の把握、電波の有無、当日の天候判断など、自然についての把握だけではなくトータルで環境を見ていてくれているという参加者にとって大きな安心感につながります。

インタープリテーションであること

聞きなれない言葉ですが、私が思うインタープリテーションとは、今、目の前にある事象を読み解き案内できることです。その案内では、テーマ性があり、内容が構築され、トピックが互いに関連付けられた上で、エンターテイメント性を持っていることが重要になります。その内容も参加者によって対応を変えることも大切です。私は正直生真面目な性格で、エンターテイメント性に欠けている分、醸し出すナチュラリスト的雰囲気や内容、周辺の自然環境の把握は誰にも負けないように心がけています。

誰にも負けない何かに真剣に取り組んでいること

コミュニケーション能力や人間性は、一度出会ってみなければ、なかなか見えてきません。ガイドもゲストも人ですから、合う合わないは必ずあります。しかし、まずは自分をガイドとして選んでもらえなければ始まりすらしません。そのガイドが発信するコンテンツが誰にも負けないものになっているか、自信を持って応えられるようになっているのか、分からないことがあったら随時調べられているのかなど、日々鍛錬していくことが大切です。

ライフスタイルや生き方、日々のフィールドワーク、ガイド以外の時間をこれらに費やしていくことで、ガイドは自身をトータルコーディネートし、当日ガイドする際の雰囲気を醸し出していきます。情報発信であったり、当日の雰囲気やガイド内容であったりに共感してもらいガイドとして選んでもらうことで、地域に来てもらうきっかけの一つにしていきます。大きなイベント会社ではないので、ガイド1人の力では小さな活動しかできませんが、それらを日々積み重ねていくことが、観光振興、地域貢献、環境保全につながる1ガイドとしての役割なのではないかと思っています。

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