北海道に来てから10年が経ち、最近つくづくと思うことがあります。
それは、雪への想いが急激に変わったことです。
北海道で迎えた初めての積雪では、
それはそれは嬉しかったことを覚えています。
今までまったく雪が無かった景色から、
しんしんと降ってくる雪で、
どんどんと白くなっていく瞬間に立ち会っていることが、
たまらなく愛おしかった。
もちろん除雪をしたことも無かったので、
ハンドラッセルやママさんダンプと呼ばれる除雪道具などを始めて使ったときも、
上手く扱えなくて、次の日筋肉痛になっていたのもいい思い出です。
しかし、
「今年もまた降ってきちゃったなぁ…」
当時一緒に働いていたスタッフからはそんなぼやきが聞こえてきました。
雪が降ってくるのに感動していた僕とは全く違う感情からのセリフに、
僕もいつかこうなってしまうのかなぁと思ったのも覚えています。
それからは、毎週地吹雪で除雪除雪の毎日が続いた年もあれば、
車が雪に乗り上げて動けなくなってしまったこと、
降り始めのシャーベット状の雪に滑って路肩に車が落ちてしまったこと、
地吹雪で前が全く見えなくない中で移動したこと、
道路が閉鎖される直前に家から出かけたことなどなど。
北海道に来る前は、素晴らしい雪国というイメージしかありませんでしたが、
10年もいるうちに色々と経験すると、
「あぁ、今年も雪が降ってきちゃったなぁ」
と10年前に聞いたぼやきを自分が言い始めてしまったことに、
なんだか衝撃を隠しきれません。
除雪があるから雪の日は出かけるのを控えた方がいいな、
車が滑りそうな道路条件の日は車を走らせないほうがいいな、
地吹雪の時は雪に乗り上げないように気を付けないといけないな、
などと思い始めたからなのでしょう。
それでも
雪が降るからこそ、
寒いからこそ
見られる自然風景があるのも知っているので、
それらを見られたら今はまだ嬉しいし、テンションが上がります。
しかし、EastSideという今は販売されていない
北海道のカントリースタイルマガジンの記念すべき一冊目のINTRODUCTIONの中で、
”カメラのフレームで捉え、選りすぐりの言葉を使い、そしてなにかに記録させなければ、その素晴らしさも日常の中に埋没して感動のかけらすら生まれて来ない”
という一文に最近触れました。
僕もいつかこうなってしまうのかなぁと再び思うこととなり、
先人たちが感じ歩いてきた道を歩いているのであれば、
僕も次の10年できっとまた心境は変わり同じように感じていくのでしょう。
だからこそ、その過程を精一杯謳歌していきたいなと改めて思うひと時なのでした。
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