【掲載】摩周外輪山で見られる霧氷 ― 阿寒摩周国立公園名称変更へ向けて ―

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厳冬期の摩周では、昼間雪が降り続け、夜の間に降り止む天気予報になっていると、素晴らしい風景に出会えることがあります。朝陽に染まる霧氷です。標高600m前後の外輪山が雪雲に覆われていると、風で流された霧粒が冷えた木々に触れて凍り、霧氷は成長していきます。快晴の中、摩周で朝陽と霧氷が見られるということは、木々が風雪に耐え抜いた姿なのです。

その姿を見るために、降雪後の日の出前、夜空で星がまだ瞬くマイナス15度の静寂の中、摩周の展望台で朝陽が昇ってくるのを待ちます。東の空が徐々に明るくなり、周囲の景色が見えてくると、木々に霧氷が着いているのを確認できます。外輪山の南寄りから冬の太陽が顔を出すと、辺りの雪原が赤く色づき始めます。すると、樹幹から枝先までびっしりと霧氷が着いた木々が鮮やかにピンク色に染まっていきます。まるでその場のすべてが太陽の暖かさに歓喜しているかのように感じ、私も寒さを忘れて、一瞬一瞬の風景に見入ります。

太陽が高くなるにつれて、凍えるような寒さも緩み始めると、霧氷も散り始めます。朝の幻と言ってもいいほどに、昼の光に変わるころには消えて、いつもの摩周の景色へと戻っていきます。

これからの季節、釧路川沿いや川湯温泉など街中でも霧氷を見ることはできますが、摩周外輪山では、一段と自然の美しさと厳しさに出会うことができるので、是非、町民の皆さまにも見ていただき、観光客の方にも伝えていただけたらと思います。

広報てしかが 2017年1月号より

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